古い住宅でよくある“電気まわりの困りごと”と対策

古い住宅に住むと、電気まわりの問題に直面することが少なくありません。築年数が経過した家屋では、現代の生活スタイルに合わない配線や設備が残っていることが多く、快適な暮らしを妨げる要因となります。この記事では、古い住宅でよくある電気まわりの困りごととその対策について、具体的に解説します。

1. よくある電気まわりの困りごと

古い住宅では、以下のような電気関連の問題が頻繁に発生します。これらは安全性や利便性に影響を与えるため、早めの対処が必要です。

(1) コンセントの数が少ない

古い住宅では、部屋ごとのコンセント数が現代のニーズに比べて圧倒的に少ないことがあります。1960~70年代に建てられた家では、1部屋に1~2個のコンセントしかない場合も珍しくありません。現代では、家電製品の増加やテレワークの普及により、コンセントの需要が大幅に増えています。

よくある困りごと:

  • 延長コードやタコ足配線を使わざるを得ず、部屋がごちゃごちゃする。
  • 必要な場所にコンセントがないため、充電や家電の使用に不便を感じる。

(2) 電気容量(アンペア)が不足している

古い住宅の多くは、20~30A(アンペア)の契約で設計されています。しかし、現代の家電(エアコン、電子レンジ、IHクッキングヒーターなど)は消費電力が高く、同時に使用するとブレーカーが頻繁に落ちることがあります。困りごと例:

  • エアコンと電子レンジを同時に使うとブレーカーが落ちる。
  • テレワークでパソコンや周辺機器を多用すると電力が足りなくなる。

(3) 配線の老朽化と安全性

築30年以上の住宅では、配線や分電盤が劣化している場合があります。絶縁被覆が劣化すると、漏電や火災のリスクが高まります。また、古い規格の配線では、現代の家電に対応できないこともあります。

よくある困りごと:

  • 漏電ブレーカーが頻繁に作動する。
  • コンセントやスイッチが焦げ臭い、または異常に熱くなる。

(4) 照明の不具合や古い規格

古い住宅の照明器具は、蛍光灯や白熱電球が主流で、現代のLED照明に比べると消費電力が大きいです。また、配線やスイッチの劣化により、点灯しない、チラつくなどの問題が発生することがあります。

よくある困りごと:

  • 照明が暗く、部屋全体が薄暗い印象になる。
  • スイッチの接触不良で点灯が不安定。

(5) 接地(アース)の未対応

古い住宅では、コンセントにアース線が設置されていないことが多く、感電や家電の故障リスクが高まります。特に、洗濯機や電子レンジなど、アースが必要な家電を使用する際に問題となります。

よくある困りごと:

  • 洗濯機の使用時に軽い感電を感じる。
  • 高価な家電が故障しやすくなる。

2. 電気まわりの困りごとへの対策

これらの問題に対して、具体的な対策を以下に紹介します。DIYで対応可能なものから、専門家に依頼すべきものまで、状況に応じた解決策を提案します。

(1) コンセント不足への対策

対策1:増設工事
コンセントの数を増やすには、電気工事士の資格を持つ専門家に依頼して増設工事を行ってください。壁内の配線を活用して新しいコンセントを追加することで、部屋の使い勝手が向上します。費用は1箇所あたり1~3万円程度が目安です。

対策2:電源タップの活用
一時的な解決策として、過負荷に強い高品質な電源タップを使用するのも有効です。ただし、タコ足配線は避け、消費電力の合計が契約アンペアを超えないよう注意しましょう。

DIYの注意点:
コンセントの増設は感電や火災のリスクがあるため、資格を持たない個人が行うのは違法になります。必ず専門家に相談してください。

(2) 電気容量不足への対策

対策1:電力契約の見直し
電力会社と相談し、契約アンペアを40Aや50Aに引き上げることを検討しましょう。これには分電盤の交換や配線の改修が必要な場合がありますが、ブレーカー落ちのストレスが軽減されます。

対策2:家電の使用計画
同時に高消費電力の家電を使用しないよう、家族でルールを決めるのも一つの手です。たとえば、エアコン使用中は電子レンジを控えるなど、工夫次第で不便を軽減できます。

専門家の活用:
分電盤の交換や配線改修は、電気工事士に依頼が必要です。事前に見積もりを取り、信頼できる業者を選びましょう。

(3) 配線老朽化への対策

対策1:電気設備の点検
配線の劣化が疑われる場合は、電気工事士による点検を依頼しましょう。漏電や発熱の兆候が見られる場合、配線の交換や分電盤の更新が必要です。費用は規模により異なりますが、10~50万円程度が一般的です。

対策2:漏電ブレーカーの設置
古い住宅に漏電ブレーカーがない場合は、設置を検討しましょう。これにより、漏電による火災や感電のリスクを軽減できます。

予防策:
定期的にコンセントやスイッチの焦げ臭い、異音、発熱がないかを確認し、異常があればすぐに専門家に相談してください。

(4) 照明問題への対策

対策1:LED照明への交換
蛍光灯や白熱電球をLED照明に交換することで、消費電力を抑えつつ明るい環境を実現できます。LEDは寿命も長く、メンテナンスの手間が減ります。交換はDIYでも可能ですが、器具ごと交換する場合は電気工事士に依頼が必要です。

対策2:スイッチの点検・交換
スイッチの接触不良は、内部の劣化が原因であることが多いです。電気工事士に依頼して新しいスイッチに交換することで、安定した点灯が可能です。

(5) 接地(アース)未対応への対策

対策1:アース線の設置
アースが必要な家電を使う場合、コンセントにアース線を設置しましょう。これは電気工事士による工事が必要です。費用は1箇所あたり5,000~2万円程度です。

対策2:アース付き家電の選定
新しく家電を購入する際は、アース接続が不要なモデルを選ぶのも一つの方法です。ただし、安全性を重視するならアース設置が推奨されます。

3. 対策を進める際の注意点

(1) 信頼できる業者の選定

電気工事は専門知識と資格が必要です。信頼できる電気工事士や業者を選ぶために、複数の見積もりを比較し、口コミや実績を確認しましょう。地元の電気工事組合や電力会社の紹介も活用できます。

(2) 補助金の活用

一部の自治体では、老朽化した住宅の電気設備改修に対して補助金が出る場合があります。市区町村のウェブサイトや窓口で確認し、申請可能な場合は積極的に利用しましょう。

(3) 優先順位の設定

予算や時間の制約がある場合、まず安全性に関わる問題(配線老朽化やアース未対応)を優先し、次に利便性(コンセント増設や照明交換)に取り組むのが賢明です。

4. まとめ

古い住宅の電気まわりの困りごとは、現代の生活スタイルに合わない設備や老朽化が主な原因です。コンセント不足、電気容量の不足、配線の老朽化、照明の不具合、接地の問題など、さまざまな課題がありますが、適切な対策を講じることで安全性と快適性を向上できます。

DIYで対応可能な部分は限られますが、電源タップの活用やLED照明への交換は手軽に始められる対策です。一方で、配線工事やアース設置、分電盤の交換などは電気工事士に依頼する必要があります。安全性を最優先に、信頼できる業者と相談しながら計画的に改修を進めましょう。

古い住宅ならではの魅力を活かしつつ、電気まわりの問題を解決することで、快適で安心な暮らしを手に入れましょう!

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